Yukix-Weblog

気まぐれな雑記・駄文。だいたい趣味ネタ。

デス・ストランディングのゲームとしての面白さ、極まったウォーキングシミュレーター。(ストーリーネタバレ無し)

※ストーリーのネタバレは書いてません
小島監督率いるコジマプロダクションのデス・ストランディング(DEATH STRANDING)ことデスストが、
特に小島監督ファンというわけではないものの、ゲームとして、ゲームシステムとして非常に秀逸で、AAAなビッグタイトル、中でも新規IPとしては久々に面白かった。
小島監督らしい、重厚でどこか暗い映画のようなストーリーや演出は確かに良かった。
ただ、その部分は予想の範疇であり、個人的に驚きがあるものではない。
一方で、話は分かったから早くサムを操作させてほしい、ムービーはもういいよと思ってしまう程にゲーム部分が予想以上に面白かったので、
そこについて書いてみようと思う。

そもそものゲームシステムのコア

配達依頼を受けて他の拠点まで移動して納品する。
基本これだけ。SNSライクなオンラインでの繋がりのシステムも大きいけど、ゲーム性を担うのはこっちだと思う。
要はこれが面白かったわけだけども、これだけだと何がどう面白いのか分からない。
依頼を受けてどこかへ移動して完了する、というのはオープンワールドスタイルなRPGなどでは今や当たり前なので珍しくもなんともないが、デスストでは荷物を持って運ぶのが主のゲームなので、荷物の積み方や荷物そのものもゲームのシステムの一つになっている。
たくさん背負うとバランスが悪くて転んだり、荷物の一部が天井や他のオブジェクトにぶつかると律儀にもきちんとその荷物だけ落下したりする。背負える上限もある。(装備で調整出来る)
拾ってまた積めばいいんだけど、荷物には耐久値があり、落としたりぶつけたり雨や雪に当たったりすると劣化していくのである。
その度合で納品時の評価が変わる(場合によっては失敗)のでゲームの進行そのものに影響する。
理想としては、
できるだけ多くの荷物(依頼)を、できるだけ安全に、できるだけ早く運ぶ
である。
荷物をどう積むか、どう運ぶか、というのも要素としては重要だしそれはそれで面白いところではあるけど、
目的地まで、いかに楽に安全に早いルートを取るか、がこのゲームの面白いところの本質と思う。

障害・施設・ルート設定からの想定外

マップを見て最短っぽいルートを決めて進む、手順としてはこれが一番ベストなものの、
実際には、

  • 悪天候(例えば雨が降ると荷物は劣化し、敵も湧いてくる)
  • ミュール(盗賊のような生身の敵)
  • 足場の悪い地形(川・山・谷・雪山などなど進みづらい、転びやすい場所)

などのできるだけ避けたい要素と、

  • 発電機(電気を必要とする装備品や乗り物の充電)
  • セーフハウス(宿のような場所)
  • ジップライン(高速移動できる)
  • 時雨シェルター(雨宿りできる)

など、できれば立ち寄りたい要素がマップ上に点在しており、大体の拠点間にはこれらが入り交ざって存在している。
その上で、

  • なるべく天候が悪くならず、敵も出ず、歩きやすいところをルートにしたい
  • なるべく途中に発電機があってセーフハウスがあってできればジップラインがつながっているルートにしたい


と希望するもののなかなかそうもいかないので、
天気は悪くなりそうだけどジップラインがあるし、敵がいそうだけど少しきつい山を登ればセーフハウスがある方にいけるかな、
というような取捨選択をしたルートを決めて歩き始めた結果、
途中で予想より時間がかかってしまって天候が変わったり、操作ミスで転んで荷物が劣化したり、気づかれるつもりがなかった敵に気づかれたりと、
いろいろな予定外を経由して目的地までなんとか歩いていくのである。これが面白い。
ちなみに車やバイクもあるけど歩いて行かないと進めない場所が非常に多く乗り捨てになることが多かったし、どこにでも置いてあるわけではないので、全体でみると、歩いている、感が強かった。

とにかく楽に→ジップライン建設紀行

ジップラインを建てれば、一定範囲内の見通せるところにある他のジップラインにターザンのように移動出来るのである。うまく建てれば複数のジップラインとも接続出来るし、
自分のも含み、オンラインで他のプレイヤーが建てたジップラインにも接続出来る。
これを使わない手はないので、ゲームが進むにつれて、とにかく最大効率(なるべく複数のジップラインと接続出来て、なるべく遠いところに(距離を稼ぐ))で点々とジップラインを建て、拠点間を移動できるように、を目指すゲームになっていった。
一見すると作業っぽいけど、そこまでの道のりは変わらず険しく、そもそも行ってみないと建てれるかどうかも分からない(地形が平坦でないと建てれない)し、建てれる数も限られているので、作業感はほとんど感じなかった。
拠点間がジップラインだけで移動できるようになるとかなり達成感あるし、ジップライン間の範囲では依頼もこなし放題である。
これはこれで良い意味で一つのゲームのように感じれた。

極まったウォーキングシミュレーター

あの山をあの辺から登ってみよう、という直接的な登山・ロッククライミング感もあれど、
天候変動や途中の建物、地形などをマップ見ながらルーティングし、装備を整えるのは、ある種ビバークを考慮しながらアタックするような、険しい山を攻略するような登山感があった。
対象が山でなくても、障害を考慮したルーティングという面では山でも平野でも川でも一緒である。
荷物を運ぶシークエンスではアメリカの再建がどうとか、ブリッジベイビーがどうとかそういうストーリーはどうでもよく、ある意味極まったウォーキングシミュレーターとして非常に楽しい時間が味わえた。
風景や作り込みといった目に見えるディティールを主軸に展開されるウォーキングシミュレーターの一歩先を行くものに思う。
ついでに風景は絶景。

最後に

ただ歩くだけでも十分に攻略性があり、他にない体験が出来る貴重なゲームだった。プレイしてみる価値のあるゲームと思う。
小島監督メタルギアとかZ.O.Eだけじゃないというのがよく分かったのでコジプロの次回作も期待。
あと音楽も良い。
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